事業承継という言葉には明確な定義があるわけではなく、捉える人によって様々な認識があります。2016年に中小企業庁の策定した「事業承継ガイドライン」によると、事業承継とは「事業」そのものを「承継」する取り組みとしています。その構成要素は人(経営)・資産・知的資産(目に見えにくい経営資源や強み)の3つがあり、これまで培ってきた事業資産を次の世代に円滑に引き継いでいくことが重要です。そのためには、何をどうすればよいのでしょうか。

事業承継で引き継ぐものは?

人(経営)

  •  経営権
  •  後継者の選定
  •  後継者教育

資産

  •  株式
  •  機械設備
  •  不動産
  •  運転資金
  •  借入等資金

知的資産(目に見えにくい経営資源や強み)

  •  経営理念
  •  独自の技術・技能
  •  ノウハウ
  •  情報
  •  知的財産権(特許)
  •  許認可
  •  人脈

このほかにも社史や困難を乗り越えたエピソード、ファミリーの価値観、社訓、先代社長の口グセに至るまで、ありとあらゆるものを承継する必要があります。

ここで重要なのは、表面的な言葉だけではなく、先代達がどのような場面でどのような苦労をして、どのように乗り越えてきたのかといった具体的なエピソードについて、どれだけその真意と共に後継者が理解し、自分のものにしているかということです。

経営の重要な局面での意思決定の判断軸となる自社らしさを、後継者が確実に自分のものにしているかどうかが、事業承継の成功の分かれ目となります。

誰に引き継ぐ?3つの可能性

親族内承継

現経営者の親族に承継させる方法は、他の方法と比べて心情的に受け入れられやすく、後継者の早期決定により長期の準備期間の確保が可能です。また、相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の一体的な承継が期待できるといったメリットがあります。一方、現経営者の子どもがいる場合であっても経営の資質と意欲を併せ持つ後継者候補がいないなど、後継者難といわれる要因となっています。

従業員承継

「親族以外」の役員・従業員に承継させる方法で、親族内に後継者がいない場合に検討されます。経営者としての能力のある人材を見極めて承継させることができ、経営方針等の一体性を保ちやすいといったメリットがあります。しかし、社内に適任者がいなかったり、後継者候補に資金力が無いことが大きな壁となっていました。 そこで近年では経営承継円滑化法などの承継支援策が講じられ、親族外の後継者も事業承継税制の対象に加えられました。さらに種類株式や持株会社、従業員持株会を活用するなど円滑な承継のためのスキームが浸透してきたことも相まって、より実施しやすい環境が整いつつあります。

M&A(第三者承継)

株式譲渡や事業譲渡等により社外の第三者に引き継がせる方法です。親族や社内に後継者候補がいない場合でも、広く外部に後継者候補を求めることができます。また、現経営者は会社売却の利益を得ることができる、従業員の生活を守ることができるなどのメリットがあります。一方、大切な会社の今後を任せたいと思える買い手を見つけるのが困難だったり、経営陣が変わることで現在の社風や給与体系が大きく変わる可能性があり、引き継がれた従業員は適宜対応していくことになります。

円滑な事業承継を実現するためには、自社の強み・価値の源泉がどこにあるのかを現経営者が理解したうえで、誰に引き継ぐかを決めることが大切です。

事業承継にむけた5つのステップ

step1.事業承継に向けた準備の必要性の認識

事業承継セミナーへの参加や本を読むなど事業承継に必要な準備は何かを調べたり、家族間で会社の今後をどのように考えているかを話してみましょう。後継者候補の方から社長へ話すと、「まだそんなこと考えてないよ」とか「お前が口をはさむことじゃない」などと言われてしまうことも。内心考えていても、決断できないうちは自らの進退を口にするのは難しいということを理解して、少しずつ希望を伝えてみるのも良いでしょう。

step2.経営状況・経営課題の『見える化』

家族間でお金の話をすることがはばかられ、なかにはいざ社長に就任してから会社の財務状況を知るという後継者の方もいます。「まさかこんなに厳しい状況とは…」とならないためにも、会社の経営状況や経営課題を『見える化』しましょう。自社の強み、市場の動向、これまでの歴史、取引先との関係などを理解してから承継することで、きちんと引継ぎがされていることがわかると関係先や従業員も安心してくれます。

step3.事業承継に向けた経営改善

事業承継は経営の改善に取り組む絶好の機会です。誰に引き継ぐかによって株価対策などの具体的な方法は変わりますが、有形資産(株式・不動産等)だけでなく、無形資産(経営理念、ノウハウ、人脈、歴史等)を整理しておくと承継後の経営にとても役立ちます。

定期的に家族会議の場を設けたり、夕食のリラックスしたタイミングで話をしておくことで、会社の状況を共有し、互いの気持ちを確認しておきましょう。万が一、難しい状況に置かれている場合には、第三者を交えてルールを決めた上での会議をすることも一案です。

step4.事業承継計画の策定

後継者を誰にするのかを決定し、承継計画を立てます。step3.の準備をどれだけしていたかによって前後しますが、一般的に事業承継には 5年~10年という期間がかかります。ここで重要なのは、後継者へ引き渡す時点を決めておくことです。

「後継者が育ってきたら引き継ぐ」と思っていると、その時はなかなかやってきません。なぜなら現社長が納得するレベルになるためには、現社長の社長就任~現在までと同じだけの時間がかかるからです。そこで、承継する時点を決めておき、専門家と相談しながらその時に向けて準備をしていきましょう。

step5.事業承継の実施

step4.の承継計画で決めた承継する時点がいよいよやってくると、社内や関係先へのアナウンスを行います。法的な手続きは専門家へ任せて、先代社長と後継者は関係先に対し、これまでしっかりと準備をすすめてきたことをアピールしましょう。

事業承継をきっかけに、いきなりこれまでのやり方を大きく変えようとすると失敗につながります。事業承継が一段落してきたと思われる段階で、会社が長期間にわたり存続してきた強みを活かしつつ、新しい方向性を探るのが得策といえるでしょう。

アトツギサポートで支援できること

『事業を承継すると覚悟を決めた後継者の支援がしたい。』と当社はずっと考えてきました。なかでも、突発的な事業承継を行うことになった後継者は、何から手をつけたらよいかわからず不安が大きくなる傾向があります。

当社では、法的な手続きだけに終わらないメンタル面も含めたサポートを行っております。また、必要に応じて各専門家とチームを組んだり、ご希望であれば承継後の経営コンサルに至るまで、伴走型のサポートによる安心をお届けいたします。

  • 伴走型サポート「きずな」
     ご契約月~3カ月間 月2回/4か月目以降~ 月1回    ※対面またはオンラインにて面談を行います
  • 当社オリジナルツール『つなぐ History MEMO』で「突発的な事業承継」も支援可能に
  • 事業承継計画の策定
  • 財務状況分析
  • 事業承継補助金等のご提案・申請サポート
  • 各種許認可の引継ぎサポート
  • 遺言・相続・成年後見・家族信託のご相談
  • その他

最後に、当社はお客様の状況に応じてご提案を行いますが、それを実際に行動に移してご希望を実現するのはお客様ご自身にしかできないのです。            前を向いて頑張るお客様の背中を、私たちは後ろでそっと支える存在であり続けることをお約束します。

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