2024年3月19日、法政大学IM総合研究所 ファミリービジネス研究部会セミナー2024に於いて、『ファミリービジネスの成長と事業承継のカギ』というテーマで講演を行いました。
セミナーの内容
第1部は『金融機関職員が見た事業承継の現実~円滑な経営者の交代に向けて~』と題して、金融機関で法人営業をしている中小企業診断士が「経営者保証」についてどう考えているのか、また、事業承継前にスムーズに経営者保証を解除するコツをお話ししました。
第2部は『女性後継者たちの奮闘~困難を乗り越え成功を掴むまで~』と題し、冒頭で当社代表の山下からファミリービジネスにおける事業承継の現状をお話ししたのち、特別ゲストとしてファイン株式会社代表取締役 清水直子氏にご登壇いただき、パネルディスカッションを行いました。
清水直子社長は現会長であるお母様から事業承継し、3代目後継者として活躍されています。女性が跡を継ぐことが増えているとはいえ、跡取り娘のモデルケースとなるような事例はまだ少なく大変貴重な経験談を聞くことができました。
【清水社長が考える跡取り娘のメリット・デメリット】
○後継者=男性というバイアスがあり、希少性でメディア取材が多い
○女性社長の会社だからという理由での入社希望者がいる
○自分を大きく見せなくて良い、男性よりは肩の力が抜けて楽だと思う
×後継ぎとして育てられていないことが多く経営を学んでいないことが多い
×承継後に結婚する場合、苗字が変わることで信用を再構築する必要がある
×家庭と仕事の両立が大変
後継者問題の改善傾向
帝国データバンクの全国企業調査2023年のデータによれば、日本企業の「後継者問題」は改善傾向が続いています。
事業承継の相談窓口が全国に普及したほか、第三者へのM&Aマッチングなどの支援体制が整備されてきたことなどが要因として挙げられます。また、承継先については「従業員承継」が「同族承継」を初めて上回り、「脱ファミリー」の動きが加速しています。
女性社長の高齢化
注目したいのは、60 歳以上の女性社長の割合が約6割を占めていることです。後期高齢者に該当する 75 歳以上の割合は初めて2割を上回りました。
男性社長も含めた全体では60歳以上は52.5%、75歳以上は13.9%となっており、今後は女性社長の高齢化により「母から娘へ」承継するケースが増えてくると予想しています。
「跡取り娘」という選択
山下が最も伝えたかったこと、それは「男の子だから跡取りに」という固定概念は捨てて、これからは性別に関係なく「跡取り」になる選択肢を与えられ、引き継ぐための準備期間を充分に設けてほしいということです。
準備不足のまま突発的に承継するケースは男性でも女性でもありますが、とくに女性後継者の多くは「まさか自分が継ぐなんて思っていなかった」とお話される方が本当に多いです。このコラムをご覧いただいている後継者をお探しの現社長の皆様、是非「跡取り娘」への承継も視野に入れてご検討ください。
一方、今後増えると予想される「母から娘へ」の事業承継は意外と難しく、後継者である娘が「先代社長の母が口うるさくて…」と結構な確率で悩んでいたりします。当社では、このような愚痴聞きも含めて長期伴走型でサポートいたします。まずはお気軽にお問合せください。